海江田譲二の『平手造酒 新撰組 大岡政談』 そびえ立つ大都映画のトップスター阿部九州男の影
海江田譲二の『平手造酒 新撰組 大岡政談』 そびえ立つ大都映画のトップスター阿部九州男の影
ドラのいつどこでも ドラマ思想展開 テレビドラマ黎明期列伝 徳川家斉を演じた大名優の暴かれる闘いの日々
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日活は当時空前の時代劇ブーム、数多くの映画スターとの競い合いの中で苦しみ、海江田譲二の主演が減少傾向となったことげ原因だと考えられますが、主演を求めて、1933年に最大手の日活からランクが落ちるB級テイストの会社の大都映画へ移籍し、移籍以前を大きく上回る50作以上の主演作を積んでいきました。大都映画のトップで通産主演140作以上を記録した大スター阿部九州男などには劣るものの、大都映画を代表する主演スターの1人として君臨しました。
大都時代は平手造酒の題材『平手造酒 一刀流酒供養』(1933)、新撰組題材『新撰組悲歌』(1934)、大岡越前にもつながる大岡政談題材の『大岡政談 双竜一殺剣』(1936) などの有名題材に主演しています。時代劇映画スターのトップとしては到底及ばないものの、有名題材の主演作があるだけでも、当時の海江田譲二が最低限な評価は得ていたことが伺えます。
阿部九州男は大都映画でもっとも多くのオールスターに主演し、主演数も含めてトータルでは事実上のトップといえる俳優でした。一方で大都映画時代の海江田譲二はオールスターに出演した履歴は残されていません。阿部九州男と比較されることを避けるためにあえて出演しない活動をしたとも考えられます。
<確認できる阿部九州男と海江田譲二の主演作>
海江田譲二 通産=95作弱 大都映画のみ=50作強
阿部九州男 通産=140作強 大都映画のみ=120作強
恐ろしいことに大都映画のみだと70作以上の差が存在していたことになります。
芦辺劇場週報の芦辺劇場とは、現在の大阪府大阪市中央区千日前にあり、この阿部九州男が主演した1938年の『旋風髑髏』の頃は大阪歌舞伎座の側にあった劇場です。1914年に演芸場から映画館に転換し、1970年7月27日をもって映画興行を打ち切ったという記録が残されています。
*週報=現在でいう映画館の週間の会報誌や刊行物を意味
*芦辺劇場は現在ではアシベ劇場の統一表記も多い
海江田譲二が少なからず与えたテレビドラマへの影響たち
海江田譲二はテレビドラマの時代劇作品へも少なからずの影響力が存在しています。それは何故か、映画で主演や助演した作品がテレビドラマでも多く作られているからです。今回の表と裏で取り上げた作品群の中でも主な作品がいくつかありました。
東映で1957年に映像化された児童向けの時代劇映画『さけぶ雷鳥』(原作は吉川英治)の3部作へも海江田譲二は出演しています。彼の当時は松竹がメインであり、東映に呼ばれて出演を果たした中でも数少ない有名作への出演でした。
・中山安兵衛と堀部安兵衛
1931年の『新釈高田の馬場』で中山安兵衛、『元禄忠臣蔵 前篇』、1942年『元禄忠臣蔵 後篇』の3作で堀部安兵衛を演じています。『新釈高田の馬場』の監督の辻吉郎は時代劇映画だけで130作以上を手がけた知られざる名匠でした。個人的に現存する作品を見たことがあります。
中山安兵衛は堀部弥兵衛の養子になる前であり、事実上3度演じていることになります。ドラマでも多数が作られていく、忠臣蔵やその関連の高田の馬場の題材の一翼の担いました。
中山安兵衛や堀部安兵衛はある程度の剣戟を求められることが基本的な役柄でした。彼もある程度の剣戟俳優にも属したことを示しています。
藤田まことのテレビ時代劇の剣客商売シリーズでも、高田の馬場と関連付けた「剣客商売スペシャル 決闘・高田の馬場」が2005年に放送されています。
・銭形平次
野村胡堂の原作『銭形平次捕物控』(1939)の2作の主演は関操、嵐寛寿郎、小金井勝に次いで4人目であり、戦後の大映で長谷川一夫、テレビドラマではドラマの大川橋蔵、風間杜夫、北大路欣也などに引き継がれていきました。海江田譲二もこのリレーに2作ながらも関与しています。
見られるものはすべて見ていますが、風間杜夫は彼なりは努力はしたものだと思いますが、ひょろひょろした風貌になってしまいちょっと残念な銭形平次でした。あれはあれで見方次第では面白さがあります。
海江田譲二の2度以上を演じた役やテレビドラマでも有名な役柄
海江田譲二は映画で1作の役柄が多かった中で、2度以上を演じた役やテレビドラマでも有名な役柄としては中山安兵衛と堀部安兵衛の同一人物を合わせて3度、銭形平次を2作で演じました。
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